上巳の節句
三月は十二支では『辰』の月に当たります。
辰に縁の深い巳(み)の日が節日とされ、
初めの巳の日すなわち上巳がこの日になったようです。
古代中国では、水辺に出て災いを払う風習があり、のちに日本へも伝わり、
曲水の宴として各地で行事が行われています。
また、紙製の人形(ヒトガタ)で身体を撫でて、穢れを移して水に流す<祓え>の行事があり、
やがてこの人形は雛人形へと発展してまいりました。
お茶杓の銘などで、“踏青”という言葉を耳に入れたこともお有りかと存じます。
「この時季、薬草を摘み水に入り手足を洗い、その後に薬草を踏んで薬効成分で身体を清めた」
というところから、季語として使われている言葉です。
歴史を振り返り、連綿とつながる中国からのお話。
隣国からの便りは昨今!思わしくないことばかりですが、
佳き伝説がのちの世にも伝わりますようにと願っております。
画像は、祖母の手刺繍の袋帯。
彩鮮やかな蛤柄はこの時季になると締める帯です。