わたくしの一碗
昨年 秋の企画で裏千家<茶道資料館>にて“私の一碗 六十五碗 それぞれの想い”というテーマで展示がございました。何にも代えがたい魅力や心に残るエピソードなどを拝見し、残心の贅沢に想いを馳せておりました。私にとっての一碗ってどんな茶碗かしら….とずーっと考えておりましたら、見つけました。
5年ほど前に義理の母から預かった茶碗です。『貴方達のひいお祖父さまが造られたお茶碗よ』と手渡してくれた一碗。
大正末期から昭和初期まで外交官を務めていたという曽祖父は、海外に出られ、外国の方とのお付き合いも多かったからでしょうか?茶の湯の嗜みもお有りの方だったようです。義母も夫も全くその道には縁がなく….わたくしがお預かりすることになりました。
いくつかある中でも、この茶碗はご自身で造られた茶碗のようですが、専門家ではないので少々重い出来上がりです。それでも表面には美しい油滴が現れて、小ぶりで掌にぴったりとハマります。
中には<はつがま茶盌>と書かれている箱もあったりして。時代を超えて嫁であるわたくしの手に触れているなんて想像もしなかったでしょうね。
五郎丸屋の薄氷は季節限定の兎さん!ほろほろっと口に溶かしながら、自服で一碗!
大切にお傍に置いて、茶の湯の道で精進致します。