春の一楽茶会
春はあちこちで茶会の目白押し。ここ【明章庵】にて月釜のお席をかけさせていただきました。お声かけいただきましたのは昨年の11月。併設する茶道具屋
万楽堂さんの<名品展>添え釜のお手伝いをしたのがご縁でした。
その後お話が進み、わたくしにどんなお席ができるのか….と不安もよぎる中、多くの方々にお支えいただきこの日を迎えることができました。
当日は茶席二席と点心席!もうひとつのお席はベテラン先生の濃茶席でした。
わたくしの家は代々お茶の家では無いものですから、どうにもこうにも道具揃えは毎回悩みの種ではありますが、一度お受けしたのですからこれは全うせねば!と弟子たちとともに基本に戻り稽古に励む日々が続きました。
常日頃から“私にしかできないこと”を探しながら歩みを進めておりますが、今回もあれこれと思考を巡らせ、たどり着いたのが<中国思想と茶の湯>でした。
九星学や陰陽、そこから五行に派生する考えは理にかなったものが多く見受けられ、茶の湯と密接な関わりがあるものです。それなのにこの思想は意外と遠い世界にお思いの方も少なく無いはず。
そうだ!春の道具合わせに色彩の教えを交えてお話させていただこうと思い立ったら、なんだかとてつもなく楽しくなって参りました。
茶会を催す時に毎回基本にしているのは白という色。わたくしの中では清らかさを表現する色なので白を基調として道具が頭の中を巡ります。『四清道』“竹の清きを切り、清き水を汲み、清き花を生け、清き心で茶を喫する”この心構えは常にわたくしの念頭にある精神あり、今回も薄茶器、水指、茶碗、花など意識して整えてみました。もちろん!お菓子も白 きんとん製です。
浅井竜介さん作の水指は乳白釉 <藤棚>という銘を付けていただいております。
薄茶器はガラス作家の川北友果さんの小物入れを見立てで。
茶碗は桜色の赤楽(青子) 白の押紋(須藤訓史)白磁(大野佳典)点描の粉引(浅井竜介)ガラス呼続(西中千人)。赤白黄とで春を演じてみました。
床の花は自宅の庭をふらふらと散策し白いお花を見つけて、著莪・大待雪草(別名 鈴蘭水仙)ムスカリを竹の置筒にスッキリと入れました。
所々に春の色である桃色や紫を入れたのは、赤は“礼儀”の色、紫は“徳”の色ということで、茶室の中を神聖な場所に整えて皆様をお迎えしたいとの気持ちでした。
お菓子はいつもの通り、菓子職人の伊藤さんにお越しいただき、水屋で100個作成。菓銘は<春遊び>です。
中餡はラズベリージャム入り餡 外のそぼろ餡にはコンデンスミルク入り。お口の中でイチゴミルクを体感していただきました。
そんなこんなで見立ての茶道具も多いものですから、床の間には見立ての効かない茶筅をどしっと。黄梅院の太玄和尚様のご染筆<茶筅売りの図>でお守り代わり。
香合は緊張感をほぐすように、金泥の水鳥をプカプカと浮かばせて。
はてさて皆様の目にはどのように映りましたか…。亭主を存分に楽しませていただき、お出まし下さった方々に感謝の念が止みません。
茶の湯は日常の生活を豊かにするものと感じます。
ワクワクと心弾むお茶を続けて参りたい所存です。