初春を寿ぐ
みなさま
新しい年が明け、お健やかにお過ごしのことと存じます。
初春を寿ぎ 謹んでお慶びを申し上げます。
2017年は、“丁酉” 星の中心が“一白水星”に存する歳となります。『一』はスタートの意味を含み、『白』はこれまでと全く異なる誕生を告げる歳。昨年は、様々な場面で『個』を意識させられる動向にあり、独立、解散などで終わりを告げ、新しい物事を引き起こす要因を多々目にしたことも記憶に新しいものです。
新しい動きは急激な変化ではあり得ず、少しずつゆっくりと思想や考えを進めた結果やってくるものと感じます。
シンギュラーポイント!
物理学上の用語で、「特異点」を表す言葉。水は急には沸騰した湯にはならないように、ささやかな変化の重なりで大きな瞬間が訪れてくるものでしょう。
ヒトは忙しすぎるとその変化を見逃し、結果として可能性を失うことすらあるように思えます。
十二支の酉を紐解いて見ると、酒樽の文字があることに気づかされます。従来の動きとは異なる成熟が少しづつ樽の中で進行し、内部では全く違うものが生まれてくることを意味しているとか….。
ここ数年前から、忙しい生活から自らを解放し、些細な変化に気を留められるよう自分自身を課して参りました。単にのんびりとした生活ではなく、ゆったりと進むトキに五感を研ぎ澄ます大切さを見つけ出している日々です。
デジタル社会に身を置く現代のわたくしたち!
自分の周りに神経を集中させることに必死になり、距離のあるところで起こる出来事には関心が薄れてきている昨今であります。
お料理をする際に生じる小さな泡!そこから告げられる微妙な変化や、共通語を持たないまでも 意思表示し合う犬のトロワと会話。茶の湯に関わる時間は、節目や暦と敏感に寄り添い、穏やかな気持ちを持続できます。
【激動の歳】と言われる2017年ではありますが、ささやかなことに耳を傾け、丁寧に歩みを進め、大切な一瞬を見逃さないよう過ごして参りたいとの想いです。
みなさま 本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
宗佳 拝