なごみ 2月号
月刊誌<なごみ>2月号!今月の連載テーマは、【利休百首】です。
利休さまが和歌のカタチで茶の湯の精神、点前の心得を表現したこの百首。読み返すたびに茶の心に触れられ、わたくしにとってはバイブルのような存在です。
“歌”とは人に伝えるものであるけれど、以心伝心で会得できるのであれば、喜びが幾重にも重なるものと感じます。
百首の中でも特にこの二首が好きです❣️
1、『茶の湯には 梅寒菊に黄葉み落ち 青竹枯木あかつきの霜』
2、『茶の湯とは ただ湯を沸かし茶を点てて 飲むはばかりなる事と知るべし』
まず、ひとつ目の歌は、茶の湯の中の“陰と陽”を謳っているもの。この調和!なんとも風情を感じられ、日常の中に様々な想像を掻き立てられます。
“陰”の部分は、①花を咲かせている時季→冬 ②黄葉み(銀杏)の葉が落ちる時季 ③枯木 ④霜。 “陽”の部分は、①花が咲くという事実 ②黄葉み(銀杏)が色づくという事実 ③青竹の清らかさ ④あかつき→1日の始まり。ということになる。
寒い時季にも関わらず、花を咲かせる。その為に地道に温めてきた力。葉々の美しさを表現するために色づく憂さ。<清らか>という事は、意識を持たずに生きているのでは見つけられないものと思います。<美しさ><華やかさ><麗しさ>が表面に現れるということは、その根っこで 真のある努力をしているのだ!ということがこの歌から読み取れて参ります。
二つ目は、なんの変哲もない日常のこと!日常茶飯事を大切にしましょう!という句であります。<ただ湯を沸かし、お茶を入れ飲む> なんでもない事なのに、この一連の所作の中にはたくさんの想いが詰め込まれているのです。
日々の生活に例えてみると、雑に接した物事には雑な応えしか戻って来ず、丁寧に接すれば、それなりに温かな気持ちが受け取れる事と信じております。
人生はおうむ返し。せっかくこの世に生を受けたのですから、快い日常をすごしたいものですね。茶の湯の心得を記した【利休百首】を眺めていると、心地よく生きるためのヒントがいっぱい隠されています。
“秘すれば花なり 秘せずは花なるべからず”
わたくしの座右の銘。風姿花伝で世阿弥が唱えた一句です。
受け留め方は様々にありますが、私心としては、「毎日を精一杯生き抜く!そうすることで内に秘めたパワーがいつの日か自然光となってキラキラと輝きを現す」そんなヒトになりたいと願っております。
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